——少女の歌には、血が流れている。
TVアニメの第1シリーズ。認定特異災害『ノイズ』。それに対して効率的・有効な攻撃手段を備え、撃退することを可能とする『シンフォギアシステム』。シンフォギアを身に纏い、当代トップのボーカルユニットである『ツヴァイウィング』の天羽奏と風鳴翼は誰に知られることなくノイズと戦っていた…。そんな中、立花響はこの春より私立リディアン音楽院高等科に通うこととなる。しかし、そのことが大きな運命の転換になろうとは、まだ気づいてはいない。『覚醒の鼓動』は、すぐそこにまで迫りつつあった…。
(C)Project シンフォギア
立花響は、この春より親友の小日向未来と共に、私立リディアン音楽院に通うこととなった。それまで音楽とは無縁の生活をしていた響がなぜ音楽学校へと進学したのか? それは2年前、認定特異災害ノイズに襲われたライブ会場にて、アーティストデュオであるツヴァイウィングの戦う姿を目の当たりにし、果たしてそれが現実の光景であったのか、真偽を確かめたいという思いが理由のひとつであった。平穏な新生活を送っていた響であったが、またしてもノイズの脅威に晒された際、その胸に抑えきれない破壊衝動が湧き上がるのであった。
胸に生じた衝動が収まると、響は自身に起きた変異に驚愕する。漲る力と身体に装着されたプロテクターは、いったいなんなのか? その疑問は晴れなくても、自分に向かって目を輝かせる少女を救うべく、この場からの逃走を試みるが…。慣れない力に振り回されるばかりの響を救ったのは風鳴翼であった。危地より脱した響は、翼と共に特異災害対策機動部2課へと赴き、自分に目覚めた力が2年前に殉職した天羽奏より受け継いだものと知らされる。この力で誰かを助けられるのならばと、戦場に立つ決断を下す響。だが翼は、そんな響の屈託のない笑顔が受け入れられなかった。
自分と同じ戦場に立つと申し出る響に対し翼は、常在戦場の意志の体現、アームドギアを構えてみせろと詰め寄る。戸惑うばかりの響。装者同士が激突しかねない状況を回避できたのは、割って入った弦十郎の活躍であった。その日からひと月近くが経過するものの、響と翼の間に横たわる溝は埋まる様子はなく、頻発するノイズへの対応に心を磨耗させるばかりであった…。つかの間の日常。疲労から小テストで及第点すらも取れなかった響は、未来に手伝ってもらいながらレポートまとめにいそしむ。それは、2人で交わした、流れ星を一緒に見る約束を守るためであった。
戦いの果てに翼は涙し、響もまた涙する。今はまだ、流した涙でしか明日を守れない。すれ違いの夜は、ついに激突の瞬間を迎える。突如現れし謎の少女が身に纏っているのは、かつて失われたネフシュタンの鎧。その事実に驚愕する翼。少女は、声も高らかに響と翼を挑発してくる。翼の胸に去来するは、奏との出逢い。あまりにも重く、凄絶な想い出は、衝動となって翼を突き動かすのだが、少女とネフシュタンの鎧に、誇りすらも踏みにじられてしまうのであった。そんな翼を嘲笑うかのように、鎧の少女は告げる。自分の目的は、立花響の身柄確保であると。奪われた鎧を取り戻すため、敵の目的を阻止するため、翼は防人の務めを覚悟する。
防人の誇りをかけて解き放った絶唱は、鎧の少女「雪音クリス」の目的である立花響の拉致こそ阻止できたが、ネフシュタンの奪還には至らず、また翼もその身に受けたダメージによって戦線離脱を余儀なくされるのだった。1人残った響は、弦十郎の指導のもと、特訓の日々を送る。それは、戦闘技術のレベルアップ以上に、戦士としての心構えを向上させていくのであった。そんな中、日本政府より本部最奥に格納されている完全聖遺物「デュランダル」を移送せよとの特命が下る。護衛の任につく響。迫り来るは、いまだ姿を見せぬ悪意であった。
クリスと激突する響。本来であれば、翼にも匹敵する戦闘力のクリスを相手に、およそ勝ち目など無かったが、起動したデュランダルと共振した響は、半ば暴走した状態で破壊エネルギーを解き放ち、かろうじてクリスを退けることに成功するのであった。制御できない自分自身に恐怖する響は、力の使い方に思い悩み、より真剣に向き合おうともがく。そんな響の努力を目にすることで翼の胸の内にも僅かばかりの変化が生じていく。一方クリスも、響との交戦を思い返し、その秘められた可能性に慄然とする。やがて、次第に損なわれていく自分の立場に言い知れぬ孤独を覚えるのであった。
いまだその手に現れないアームドギア。それでも響はあきらめず、形成に必要なエネルギーを握りこみ、運用効率を度外視したままネフシュタンに向かって叩き込む。真っ直ぐな槍に見立てた一撃は、響とクリスを隔てている強固な鎧を破壊したかに見えたのだが、他者を拒絶するクリスの心は頑なであり、相互理解を求めようとする響を徹底的に拒絶する。さらに熾烈を極めていく激闘。一方、響の秘密を知ってしまった未来の胸の内も穏やかではいられなかった。隠し事をしていた親友に向けられた怒りと、それ以上にわだかまる複雑な想いが心の平静を蝕んでいく。
フィーネと決別し、行くあてもなく彷徨うクリスを、ソロモンの杖でコントロールされたノイズが執拗に追い立てる。シンフォギアをその身に纏っても、間断なく続く襲撃と降り注ぐ冷たい雨に体力は殺がれ、やがて疲労と発熱からクリスは路地裏に倒れ伏す。そこに通りかかった未来は、クリスを優しく介抱しつつ、胸の内にわだかまる親友への想いを少しずつ吐露する。傷ついている2人だからこそ、素直な言葉で通じ合えるのだった。その時、鳴り渡る警戒警報。自分のうかつな行動が、非戦闘員まで危険に巻き込んでいる現実を知ったクリスの慟哭がこだまする。
絶唱使用による大ダメージも癒え、完全復活を果たした翼。防人として、アーティストとして激務を迎える前に、響はつかの間の休日を楽しむべきと提案する。とまどいつつも受け入れる翼。変わったのか、それとも変えられたのか、そこに以前のような硬さは感じられなかった。その一方で、フィーネより離反したクリスは、自分を追撃するノイズとの戦いで他者を巻き込まないよう人目を避け、廃マンションにて野良猫のような生活を続けていた。安心して眠る時間すらも与えられず、徐々に衰弱していくクリスのもとに、フィーネの差し向けた新たな追手が迫り来る。
叛意をうかがわせるフィーネより、聖遺物研究データを奪取せんとアジトを強襲する米国特殊部隊。そこには、いるはずのない櫻井了子の姿があった。撃ち抜かれ、血溜まりに呻く了子。だが、その掌にかざした青い燐光が銃創をたちどころに塞いでいく。超常の光景に向かって、銃爪を引く特殊部隊員。了子の身体は、無残にも鉛玉に引き裂かれていくのであったが…。フィーネとの決着をつけるべく、単身アジトに乗り込んできたクリスの眼前に横たわるのは、特殊部隊員たちの屍のみ。深淵に潜んでいた陰謀は、ついに全貌を現そうとしていた。
ノイズの群れに襲撃される私立リディアン音楽院。それは、櫻井了子の名を騙る、先史文明期の巫女フィーネの差し金であった。本部最深奥に格納されているデュランダルの元へと向かおうとするフィーネ。そこに弦十郎が立ちふさがる。ついに相対する最凶と最強。常軌を逸した戦闘力が激突するものの、意気地を固めて握られた男の拳が、ネフシュタンの鎧に遅れをとることなどありえない。その有様に驚き、否定するフィーネ。対して弦十郎は、当然のことと胸を張って肯定する。誰の目も届かない地下施設にて繰り広げられる頂上戦は、まもなく決着がつこうとしていた。
カ・ディンギルから撃ち放たれるは、炉心に据えられたデュランダルより無尽に抽出される高質量のエネルギー。それは月を穿ち、破壊せしめる必滅の一撃であった。その身を挺して、月への直撃を逸らすクリスの絶唱。その光景にがっくりと膝を落としてしまう響。しかし、カ・ディンギルは、速やかに次なる砲撃の準備に移行しつつあった。フィーネの凶行を阻止しなければ惑星規模の天変地異が引き起こされる。なおも続く絶望的な状況を前にしても臆することなく翼は剣を構え、歌を唄おうとする。だが響の胸には、抗いきれない昏い衝動が広がるばかりであった。
力を使い果たし、心まで折り砕かれ、ついに戦闘不能となった響、翼、クリス。だが、そこに聞こえてくるのは、未来たちが斉唱するリディアンの校歌。2年前、フィーネはライブオーディエンスを利用することで高レベルのフォニックゲインを実現し、ネフシュタンの鎧を起動に成功したのだが、この場に高まりつつあるフォニックゲインは、装者の持つそれぞれの聖遺物の欠片に作用し、3人にもう一度立ち上がる力を漲らせるのだった。限定解除されたシンフォギアの爆発力に圧倒されていくフィーネは、3つの完全聖遺物の力を1つに束ねるのであった。