ハッキシ言って、おもしろカッコイイぜ!
元気いっぱいの小学生・戦部ワタルはある日、救世主として異世界・創界山へと召還される。かつて創界山に輝いていた虹は、悪の帝王ドアクダーによって色を失っていた。ワタルは創界山の守り神「金龍」の魂が宿った龍神丸に乗り、忍者ヒミコ、剣豪シバラク、鳥のクラマと共に、創界山の虹の色を取り戻す旅に出る。
(C)サンライズ・R
普通の小学4年生が異世界の救世主に…ワタルの冒険がどうやって始まるか、その経緯は見逃せない。創界山という異世界の構造もユニークだ。ヒロイン忍部ヒミコが大勢のボディーガードを連れて登場。シュワルツネッガーに似た筋肉ムキムキの敵キャラ・シュワルビネガーも強烈。
ダジャレ好きのとぼけたおじさん・剣部シバラク登場。必殺のバツの字斬りと戦神丸を携えて、ワタルの新しい仲間となる。ワタルとシバラクのなぞなぞ合戦はバカバカしくて楽しい。双ツ龍岩でワタルが手に入れる、赤い面が弾んで青い面が弾まない変な“ヘン玉”にも注目したい。
ワタルの3人目の仲間・渡部クラマ登場。鳥の姿で、実は敵のスパイという、ワケありのお兄さんだ。敵キャラ・サンダーブルーは、特殊ヘリが戦う洋画『ブルーサンダー』のパロディ。変態ナルシストぶりをご覧あれ。彼の統治するアップダウンシティーの構造も、愉快である。
敵キャラ・ジョンタンクーガの執念が凄い。昔、太っていた頃バカにされたことを根に持って、自分の支配する村人を太らせてバカにするのを生き甲斐としている。怒った時のキレっぷりも常軌を逸している。ヒミコの“忍法お花畑”は、みんなを眠らせてしまう可愛い忍術である。
第一界層を元に戻すアイテム“神部の笛”を手に入れるために、ワタルやヒミコが謎なぞに挑む。奇抜な答えで次々正解をして行くヒミコの様子は、ただ者ではない。“忍法ペッタン手裏剣”でもヒミコが大活躍。第一界層が元にもどると、悪人たちも元の善人に戻ることがここで判明。
人々の歩く姿も逆さまというアベコーベ市の妙な感覚を味わいたい。龍神丸を呼べないピンチにめげそうになるワタル。そんな彼を心の声で励ます龍神丸とのやりとりが感動的だ。Dr.サッカー・サマーの毛生え薬で毛もじゃになるクラマにも注目。なお、この回から怪獣タマンゴが登場。
普通の狼男は満月を見ると猛り狂う。しかし今回出てくるゼロニモは、満月をはじめとする丸いものを見ると、気分が和んで戦意をなくす。そのゼロニモの弱点を、ワタルがどう突いて行くかが見ものである。ヒミコが“忍法まん丸お月さま”で、タヌキ姿になって踊るのも必見!
普通のドラキュラと違って、ドン・ギララ伯爵は十字架を集めるのが趣味。ニンニクも、お祖母さんが広東生まれだから全然大丈夫。そんな彼の弱点とは…? ワタルの奮闘に注目だ。善悪の判断が普通と逆になっているクロス・タウンの雰囲気は、不思議なリアイティがあって恐い。
敵の魔神フランケン2号は関西弁がしゃべれるのが自慢。しかし龍神丸は名古屋・九州・北海道と、各地の言葉がしゃべれる。その方言対決がユニークだ。“真実の鏡”を探す今回の物語はRPGゲームのノリなので、その辺も見どころ。いつになく深刻なラストシーンにも注目だ。
“真実の鏡”をめぐる謎が解決。鏡とは何かを映すもの…だから、輝く湖面も鏡になる得るのだ。はじめに“真実の鏡”とカン違いされていた品物は、シバラクを美男子に映すから“嘘の鏡”だとは、失礼な話である。なお、第二界層のボス、デス・ゴットの正体の貧弱さには一同唖然。
シバラクがアツアゲ村の美女・おユウに一目ぼれ! おユウのために支配者ケン・サークに剣の勝負を挑む彼の男気に注目だ。この勝負は武蔵と小次郎の戦いのようでもある。美剣士ケン・サークは、昔、青春剣道ドラマに出ていた某国会議員がモデルだ。シバラクの恋の結末は?
ナイスバディな敵キャラ・マリアンネットの入浴シーンは見逃せない。潔癖症の彼女は、汚れた姿のヒミコを見て、服を脱がせる間も待てずにゴシゴシ洗う。懲りないシバラクは、マリアンネットの美貌にまたクラクラ…。“灼熱の盾”“極寒の剣”など重要アイテムの名前が出てくる。
ワタルがプロレス対決! 某有名レスラーの物マネをするワタルは爆笑もの。まだ子供ながら、引き締まったワタルの体格もすばらしい。ワタルの対決相手のアブドラ・ザ・馬之助は、算数が苦手で、九九を聞くと頭が痛くなる。その弱点をワタルがどう突いて行くか、要チェックだ。
ワタルが、第三界層を救うために、予想を越えた場所に行く展開にびっくり。スパイだけれど悪人になりきれないクラマが“極寒の剣は○○○○にある”と、口をすべらせたから…というのも面白い。この回から、冒頭で創界山と界層の説明がされるようになったのにも注目。
しばらくワタルと行動を共にする美少女ユーキが初登場。スパイであるクラマを“仲間”と信じて助けようとするシバラクたちの姿が心を打つ。今回、ヒミコの父親はドアクダー討伐に出かけたまま行方不明になっている…という情報も出てくる。これが、のちに登場する人物の伏線に。
ワタルとユーキの旅は続き、マンモスならぬセンモスと、仙人に出会う。仙人によって、第三〜四界層にまつわるアッサムとウララの悲恋伝説が明らかに。一方、シバラクたちの信頼とドアクダー側からの指令との板ばさみになるクラマにも注目。罪悪感にさいなまれつつ取る行動は…。
センモスに乗って吹雪の中を旅するワタルとユーキ。緊迫感のある光景だ。“吹雪の原因は、ウララがアッサムに会えないことを悲しんでいるせいだろう”というユーキの女の子らしい推理にも注目。ドクトル・コスモの魔神はかなり強く、ワタルはユーキとセンモスに助けられる。
ワタルたちに、ついにクラマが素性を明かす。シバラクたちがソイヤ・ソイヤの拷問に苦しむのを見かねて、自ら彼らを救った後のことだ。許されたクラマが、感動の中、夕日に向かって走る図は必見。泣いて懇願するユーキの姿にウララ像が応え“極寒の剣”を手放す様子も感動的だ。
敵キャラのイモ川短銃郎が面白い。歌舞伎役者のような姿をしていて、変装の名人。しかしカタカナ言葉に弱い。その短銃郎が化けたユーキともうひとりのユーキの、どちらが本物かを試す勝負は必見。飛べなかった龍神丸が、空神丸と合体して飛べるようになる場面も注目だ。
ザン3兄弟の合体魔神ガッタイダーの圧倒的な強さが見もの。龍神丸の必殺技“登龍剣”も折られてしまい、“火炎登龍剣”を使った龍神丸は、力尽きて戦死…ショッキングな展開である。絶望するワタルに、かすかな希望をもたらすウララ像の言葉が、胸に沁みる。
頭にツノの生えた虎王登場。ヤンチャだけど一本気ないい奴である。たとえドアクダーの息子であっても…。龍神丸なしで、敵の魔神と戦うワタルの姿も見逃せない。公害に侵された世界でひとり、蝶のサナギを育てる少年ピノもいじらしい。妙なリアリティのある公害の世界はコワい。
虎王の“ヒミコをヨメにする”宣言は衝撃的だが微笑ましい。“復活の聖水”を得るため、我が身を犠牲にして行動するクラマがカッコいい。そのまま死んでしまうクラマだが、聖水のパワーで蘇る。しかも鳥になる前の人間の姿に戻って。龍神丸も龍王丸として復活する記念すべき回。
いつも元気なヒミコが花の毒で倒れてしまうという珍しいお話。それをきっかけに、今まで何度かワタルたちを助けてくれた幻神丸の正体が明らかになる。龍王丸が、鳳凰に変型して飛べることも判明する。今回からオープニング画面が変わり、虎王や幻龍斎が出てくるのにも注目だ。
ワタルと虎王のレース対決が見もの。ワタルはタマンゴに、虎王はジャレオンに乗って勝負する。虎王のねらいは“勝ってヒミコをヨメにすること”だ。最後は駆けっこで競走するふたり。しかし、優勝は意外な人物の手に…。スピードに命をかける敵キャラ・ハングリオンも面白い。
敵キャラとして、ヨメ・ハーンとムコ・ハーンが登場。養子でお婿に入り、嫁の尻に敷かれて苦労しているムコ…。そのせいか“養子(ヨーシ)”という言葉を聞くと逆上してキレるのが、悲しくも可笑しい。幻龍斎が、特技の紙細工でテントや飛行機を作って活躍する姿も見ものだ。
“ドラゴンシティの緑龍”という言葉が指すものの正体が、この回の最後にわかる。それまでワタルたちが、石碑の碑文解読などをして手がかりを探す過程が面白い。石碑を掘り出したりする作業は、またワタルと虎王の競争だ。なぜそこまでむきになって競走するのか…未だナゾだ。
地面はコンクリートで塗り固められたはずなのに、虎王がヒミコにくれたお菓子に蟻がたかる…そこから“ヨカッタネ”の種を埋めるべき地面を探し当てるという展開が絶妙。この回から、視聴者からアイディアを募集したヒミコの新忍法が登場。まずは“忍法パタパタ台風”である。
シバラクの女装はド迫力。オカマのようにも見えるが、本人はすっかり女になった気分だ。おねえ言葉で話したかと思うと、小指を立てて受話器を握ったり…。おまけに敵のビビデ・オージから一目ぼれされるという僥倖も。ワタルも女装しているが、こちらは真っ当な女の子に見える。
魔法で、ワタルがイヌに、シバラクがカバに、虎王がトラに変身してしまう。しかしそれぞれ変身した動物が似合っているような…!? 変身しなかった幻龍斎とヒミコが活躍する。なかでも視聴者のアイディアで生まれたヒミコの“新忍法まきウンちゃん”には、ド肝を抜かれる。必見!
パンクヘアーにギターをかかえたビビデ・セイキマ・ツーの、歌うようなしゃべりは聴きごたえあり。今までワタルが倒してきた敵の魔神たちの幽霊が合体した巨大魔神ゴーストン。いろんな顔が各所にくっついていてグロテスクだ。“忍法分身の術”でヒミコが披露する新体操は必見。
魔法のお菓子を食べて、幼児になってしまうワタルとシバラクと虎王。彼らの可愛らしい姿は、一目見たら忘れられないほど。その魔法をかけた張本人のビビデ・チビット・モレーテルは、大人だけれども幼児の服を着ておしゃぶりをくわえている。なんだか倒錯した世界である。
エッシャーの“だまし絵”を元ネタにした、アラ・ビアンの家のいろいろな罠は刺激的だ。大きな図体をしながら、母の愛情に飢え、愛情を求めているアラ・ビアンの姿がせつない。第六界層を元に戻すアイテム“千光の腕輪”を、ビビデ・ババ・デブーからどう奪還するかも見もの。
“魔時計”の恐ろしさに注目。時計の盤に首をはめこまれたシバラクと幻龍斎は、6時間後に時計の針(=ギロチンの刃)に首をはねられる仕組みだ。第1話以来、初めて現実の世界に戻るワタル(まやかしの現実だが)の、揺れる心情も見逃せない。ヒミコの時計脱出術にはびっくり。
魔風門のウマシカが出す難問に挑むワタルたち。“民謡”というヒミコの意外な特技が役に立つ。『ワタル』のエンディングテーマを歌うヒミコは要チェックだ。ワタルの頭も冴えていて“縄で風をつかまえる”という難問を解くウィットに富んだ方法には、感心させられる。
“最後までやりぬく意志”がないと、クリアできない魔天門。人生を思わせる深ーい味わいの第35話である。天から降りてきたロープをワタルが登り、下から他の人々もロープを登り始めるシーンは、芥川龍之介『蜘蛛の糸』風。シビアな話の中でヒミコのチアガール姿に心和む。
救世主ワタルが、敵キャラによって“悪い子”になってしまう。悪い子ワタルの邪悪な表情は見逃せない。わざと仲間の命を縮める行動にもハラハラ。その邪悪な心が、ヒミコの素朴なおまじないで元に戻るのも可笑しい。ニオー兄弟が『モスラの歌』のパロディを歌うシーンモある。
これまでの名シーン満載。ヒミコの忍法コーナーでは“まんまるお月さま”“分身の術”など、ヒミコの可愛いオトボケ忍術を総括。ドアクダーキャラおもしろベスト5では、意外なキャラクターが第1位に輝く。虎王との気になる今後が大胆に予告されるのも、ニクい演出だ。
ブランド好きで男前、しかし借金まみれの怪傑ゾロリ登場。ゾロリの手下が、ゾロリに貸したわずかな金の回収に固執する姿が悲しい。ワタルの賞金と幻龍斎の賞金の大きな差は笑える。不思議な老人に案内されて訪れるチカボッコリ遺跡は、マヤ・アステカ文明を思わせる作りだ。
ワタルから“友だち”という言葉を教わって喜ぶ虎王。しかし、それもつかの間、ワタルが父ドアクダーの命を狙う張本人だと知ってしまう。喜びから驚愕、怒りへと変わる虎王の表情の変化は、痛ましい。水量が増して行く地下洞窟での、ヒミコの幼児体型ヌードはドキドキもの(!?)。
ワタルの龍王丸と虎王の邪虎丸の壮絶な一騎討ち。心を許していた友だち・ワタルに騙された…とカン違いしたまま、自らの心の痛みにどう決着をつけるか模索している虎王。ワタルの心中も察してあまりあるものが…。そこに分け入った白龍の言葉が、大きな救いになる回である。
創界山の歴史を白龍が語る。神々と魔王の戦いや、“ワタル”という名の救世主のことを…。龍王丸と邪虎丸の一騎討ちの中に、ザン3兄弟のガッタイダーが再び登場。ドン・ゴロや戦王丸、幻王丸も加わって、6体の魔神が睨み合う空前の大戦だ。谷に落ちた虎王を救うヒミコにも注目。
忠臣であるザン3兄弟やドン・ゴロを“用済み”とばかりに消すドアクダー。その冷酷さと、それを怒るワタルたちの壮絶な睨み合い。ドンゴロが放ったミサイルから、ヒミコを身を呈して守る邪虎丸の虎王にも注目したい。“ヨメ”を守る男気を感じる。クラマも新魔神・空王丸で登場。
ワタル対ドアクダーの決戦、クライマックスに! ドアクダーが暗黒龍を復活させる。ドン・ゴロを失った虎王は、怒りと悲しみを胸に父であるドアクダーを攻撃。いっぽう正義の神部七龍神が次々覚醒。ワタルもその筆頭“金龍”の背に乗って登場する。めくるめく展開に興奮必至!
7つの龍がひとつになり、その背に乗ったワタルが“龍王の剣”でドアクダーを切り裂く…盛り上がる勝利の瞬間。そのあとの虎王の絶命、昇龍子の復活など涙と感動のシーンが続く。元の姿を取り戻した創界山と人々に見送られ、現実世界に帰るワタルの感慨が、見る者の胸にも響く。
冒険の旅が終わる寂しさを和ませてくれるエピローグ編。モンジャ村の春祭りを背景に、シバラクやクラマたちが、ワタルにビデオレターでメッセージを送る。ヒミコがワタルの横で一緒にビデオを見るのも微笑ましい。ひとつ成長して日常に戻るワタルの笑顔が頼もしい。