その街には多くの神々が住まい、その街の中心には地中奥深く――深淵へと至る『ダンジョン』が存在する。その街の名は迷宮都市オラリオ。女神ヘスティアと冒険者ベル・クラネルは、相も変わらず主神とたったひとりの眷族という最小構成。だが、世界最速のランクアップという偉業を成し遂げたベルには、これまでにないほどの視線が注がれ始めていた――迷宮・出逢い、そして冒険――これは再び綴られ始めた――少年が歩み、女神が記す 【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】――
(C)大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち2製作委員会
18階層にて黒い階層主(ゴライアス)を撃破し、無事に生還した【ヘスティア・ファミリア】所属のベル・クラネル。ダンジョン探索の合間に開かれたささやかな酒宴。その席でベルは、他の冒険者から、あからさまな挑発を受け、乱闘騒ぎを起こしてしまう。乱闘騒ぎの相手は【アポロン・ファミリア】。その団長であるLv.3の冒険者、ヒュアキントスを相手に、ベルは完膚なきまでに叩きのめされる。そして後日、ベルとヘスティアのもとに一通の書状が。それは、アポロンが主催する神の宴への招待状だった――
神の宴で主催者のアポロンから、ベルを賭けた派閥間の決闘――【戦争遊戯(ウォーゲーム)】を持ちかけられたものの、これを断固拒否したヘスティア。しかし翌朝、ベルとヘスティアの本拠地(ホーム)に【アポロン・ファミリア】の襲撃が。アポロンが気に入った子供は、地の果てまで追い回される――かつて同じ憂き目に合ったダフネとカサンドラから、そう聞かされるベル。街中に追手が配置され、ベルとヘスティアが提案を呑むまで、どこまでも追い込む……それこそがアポロンの狙いだった。そしてヘスティアを連れ、逃げ惑うベルの前に、【太陽の光寵童(ポエブス・アポロ)】 ヒュアキントスが立ちはだかる――
タケミカヅチやミアハの協力を得たことで【アポロン・ファミリア】の襲撃を切り抜け、アポロンに宣戦布告を叩きつけたヘスティア。ベルをアイズとの特訓に向かわせ、自身はアポロンとの【戦争遊戯(ウォーゲーム)】開催に伴う交渉に臨むことに。一方で団長・ザニスの手により、半ば強引に【ソーマ・ファミリア】に連れ戻されたリリ。必死の思いで主神・ソーマに派閥からの脱退を願うものの、聞き入れらることはなかった。アポロンとの交渉を終え、タケミカヅチ、ミアハと共にリリの救出に向かうヘスティア。ベルとの約束を果たすため、そして大切な仲間を救い出すために――
神酒(ソーマ)の魅惑に打ち克ったリリ、友を助けんと名乗りを上げたヴェルフと命の三名が新たに【ヘスティア・ファミリア】に改宗(コンバージョン)。更にヘルメスの助力もあって、派閥外の助っ人としてリューが参戦。未だ歴然とした物量の差はあれど、ベルたちを取り巻いていた絶望的な状況には、光明が差し始めていた。迎えた【戦争遊戯】当日。好奇、憂慮、期待、信頼――迷宮都市(オラリオ)中の様々な目が見守る中、リューの魔剣が、命の魔法が、開戦の狼煙を上げる――
【戦争遊戯(ウォーゲーム)】に見事勝利し、ベルを守りきった【ヘスティア・ファミリア】。リリも正式な手続きを経て改宗(コンバージョン)を済ませたことで、派閥は主神も含め総勢五名に。本拠地(ホーム)についても、先の騒動で破壊された教会に代わり【戦争遊戯】の副産物として手に入れた【アポロン・ファミリア】の巨大な館に引っ越し、新たな門出としては、まさに順風満帆。更に特筆すべきは、史上最速でLv.3に到達という快挙を成し遂げたベル。それに伴い、派閥の名声はうなぎのぼり。この機を逃すまいと、ヘスティアは更なる団員の増強を画策するが――
夜な夜な不審な動きを見せ、出歩く命を心配し、後をつけることにしたベル、リリ、ヴェルフの三名。【タケミカヅチ・ファミリア】の友人である千草と合流し、命が向かった先は、オラリオが誇る、もうひとつの顔――大歓楽街だった。命と千草が歓楽街を訪れた理由は、昔なじみの友人が働いているという噂を聞きつけたからという話……だが、尾行のさなか人混みに揉まれて、ベルは仲間たちとはぐれてしまう。そして、迷い込んだ歓楽街で、肉感的な魅力を放つ娼婦・アイシャに目をつけられ、半ば強引に彼女の客となることに――
娼館で出会った狐人(ルナール)の娼婦・春姫の助けで、アマゾネスの娼婦たちから命からがら逃げ出し、なんとか貞操を守りきったベル。だが、望まぬ形で娼婦となり、助けられる資格もないと救いを諦めている春姫に、疑問を覚える。更に命の尋ね人が当の春姫であったこと、そして彼女が所属する【イシュタル・ファミリア】が第一級冒険者まで擁する大派閥で、非常に狡猾で好戦的であることを知らされ、ベルの疑問は、苦悩へと変わっていく。その頃、フレイヤを目の敵にするイシュタルは、ベルがフレイヤの寵愛の対象であることを知ることに――
春姫を身請けするため、ダンジョンに潜り、モンスターを狩り続けるベルたち。しかし、ダンジョン内の食料庫(パントリー)で突如襲撃してきた【イシュタル・ファミリア】により、ベルと命は捕らわれの身となってしまう。拘束され、監禁された状態で目を覚ましたベル。眼の前には、肉欲を剥き出しにし、ベルを慰み者にせんとするフリュネの姿が。恐ろしい第一級冒険者に手篭めにされ、廃人となるまで絞り尽くされる――悪夢すら生易しいと思えてしまう現実からベルを救ったのは、またしても春姫だった――
術者の生命と引き換えに、狐人(ルナール)が持つ妖術を無制限に使用可能とするアイテム『殺生石』。『階位昇華(レベルブースト)』という破格の妖術を有する春姫の過酷な運命を知り、立ちつくすベル。脆い覚悟をアイシャに見透かされ、言い返すことすらできなかった。ベルが憧れ、そうありたいと願う英雄の姿とは――為すべき行動を思ったとき、ベルの右手が白い輝きを放ち始める。『春姫の英雄』になることを誓ったベルは立ち上がり、再度【イシュタル・ファミリア】の本拠地(ホーム)へ乗り込む――たったひとりの少女を救うために。
捨て身の行動により命が開いた血路に飛び込み、殺生石を砕いたベル。その状況にあってなお、救いを求めようとはしない春姫に、ベルは思いの丈を叩きつける。春姫の本当の願いを聞かせてほしいと。詠唱された『階位昇華(レベルブースト)』の妖術が加護を与えた先はベル・クラネル。偽りなき願いを叫ぶ春姫を背に、ベルは第一級冒険者たるフリュネを迎え撃つ。同刻、紅く燃え盛る歓楽街の一角。その中心にはオラリオ最強の冒険者、そして――最強を束ねる美の女神(フレイヤ)の姿が――
女神イシュタルの天界への強制送還を以て歓楽街の一角は壊滅。春姫も晴れて解放され【ヘスティア・ファミリア】へ改宗(コンバージョン)も決まった。そんな中、国家系派閥【アレス・ファミリア】によるオラリオ襲撃の一報がもたらされるものの……圧倒的な戦力を有する迷宮都市が普段の営みを乱すことはなく。ベルも穏やかな日常を送っていたが、ほんの些細な言葉の行き違いから、ヘスティアが本拠地(ホーム)を飛び出してしまう――
オラリオを襲撃中のアレスに捕らえられてしまったヘスティア。アイズやアスフィの協力もあり、ヘスティアの元に辿り着いたベルだが、不慮の事故により、ベル、ヘスティア、そしてアイズは谷底の濁流に呑まれてしまう――ベルたちが流れ着いた先は山間の集落・エダス村。強大なモンスターの庇護に預かる平和な村で、ベルとアイズは、体調を崩したヘスティアの看病、そしてアレスの動向を警戒しつつ、村の世話になることに。ヘスティアの回復を見守る日々の中、村では豊穣を祈願する祭の日が近づいていた――