それは「西の善き魔女」と讃えられた
平和な国<グラール>の物語
突如、女王の座を巡る争いに巻き込まれてしまったフィリエル・ディー。様々な危険からフィリエルを守るために行動する幼馴染のルーン。一方、フィリエルの父の研究成果である「エフェメリス」を得るためにルーンを狙う組織「蛇の杖」。お互いを思うばかりに、すれ違う恋愛模様。二人を待つ未来とはいったい…?
(C)2006 荻原規子・桃川春日子/Project West Witch
フィリエル・ディーは田舎育ちの15歳。領主ロウランド家で催される舞踏会にはじめて参加できると、ルーンから渡された母の形見の首飾りを身に着け舞踏会へ出かけた。が、いざ参加してみると戸惑うことばかり。そんなときに一人の青年に声を掛けられた。その青年はロウランド家の若君ユーシス・ロウランドだった。
謎の覆面集団に襲われ、フィリエルはロウランド家に救助を求める。しかし、ロウランド家は貴族の体面を重んじるばかりで、なかなかルーン救助に動こうとはしなかった。一方、山砦に連れてこられたルーン。仮面の男にギディオン博士の研究成果である「エフェメリス」を渡せと告げられる。
ロウランド伯爵が出した条件をのんだフィリエルは、トーラス女学校に入学するが、トーラスが「魔の巣窟」と呼ばれていることに一抹の不安を覚える。一方、飛燕城に一人残されたルーン。ユーシスはルーンの寂しさをまぎらわせるため、「チェスで連続で勝ったら何でも言うことを聞く」と条件付で対戦を申し込む。
生徒会のいじめ、ロゼリットの死。平和と平等を掲げたトーラス女学校は正に「魔の巣窟」だった。トーラスの不条理に耐えかねたフィリエルはルーンの元へ帰ろうとしたが、ルーン本人が男子禁制のトーラスに来てしまう。冷静になったフィリエルは、ルーネット(女装したルーン)の正体を隠しつつ学園生活に戻るが…。
ラヴェンナの生徒会と、生徒会に対抗するヴィンセントたちの「魅惑のゲーム」に巻き込まれたフィリエルは。麦穂の乙女祭の剣劇でラヴェンナと対戦することになる。しかしルーンとのキス以来、心ここにあらず状態で練習に身が入らないフィリエルを、イグレインが一喝する。一方、ラヴェンナたちに呼び出されたルーンは…。
飛燕城に戻り、平穏なひと時を過ごしていたフィリエルたち。しかし、危急の知らせで現れたロットにより、束の間の日常は終わる。「チェバイアット家によるレアンドラの女王候補擁立宣言」予想していたよりも早い宣言により、ロウランド家もアデイルに王宮デビューさせるため、首都・ハイラグリオンに向かうことになる。
アデイルに、噂どおりユーシスとの婚約を勧められるフィリエル。そんな折、彼女はリイズ公爵と接触し求婚される。その場はユーシスの機転で切り抜けるも、ユーシスからもプロポーズされてしまう。戸惑うフィリエルはルーンに会いに行くが、冷たく突き放され…。
ユーシスと婚約の決意したフィリエルに、ロウランド伯爵夫人は、ルーンと会うことを禁じる。憤ったフィリエルは、ルーンと王宮を出ることを決心。だがその夜、ルーンが別れを告げに来、フィリエルの前から姿を消す。そして翌朝にはリイズ暗殺の報が…。
ルーンを捜す決意と、ユーシスを陰ながら助けるというアデイルとの約束を胸に、南へ向かったフィリエル。イグレインの協力も得、先を急ぐ彼女はユニコーンの仔と遭遇する。訓練の末、ユニコーンを従えたユーシスはフィリエルと再会する。
竜退治は、見学するフィリエルたちにも危険が及んだ。その際にフィリエルを助けたのは、行方不明だったルーン。彼はフィリエルの無事を確かめると姿を消そうとしたがフィリエルがそれを許さなかった。ルーンの持つ知識と引き換えに、ユーシスにある提案を行う。
世界の果ての壁に、ルーンたちを残したまま吸い込まれたフィリエル。そこで出会ったのは、バードと名乗る不思議な青年。彼によると、彼だけが通れる特別な道が壁にあるのだという。一方、ルーンは目の前で消えたフィリエルを探し出す方法を模索していた。
竜退治の最中、ユーシスの危機を救ったのは、彼のためにここまで来たアデイルだった。フィリエルたちと再会の喜びを分かち合うが、彼女の持ってきた情報により、その場の雰囲気は一変する。それはユーシスの親友ロットが「蛇の杖」の一員だというものだった。
真昼の星が接近し、天変地異が各地で起こり始めた。フィリエルとルーンはバードに、この事態を止める力を持つ女王に会わせてくれと願い出る。二人はバードの道によって移動するが、その先にはレアンドラと、彼女と対峙する、女王の側近メニエール猊下の姿が。