世界を曝く
真暦71年。宇宙都市“ダイソンスフィア”の開発によって、総人口の7割が宇宙で暮らす時代。世界は二つの勢力に分かれていた。軍事同盟から発展したドルシア軍事盟約連邦と、貿易協定を拡大させた環大西洋合衆国、通称“ARUS(アルス)”。中立を謳う小国ジオールは、経済的繁栄を手に入れ、平和を保っていた。そのジオールのスフィア内、モジュール77と呼ばれる区画に暮らす高校生、時縞ハルトの平穏な日常は、突然のドルシア軍の侵攻により一変した! ハルトと謎の人型兵器ヴァルヴレイヴとの出会いが、世界を揺るがす。
(C)SUNRISE/VVV Committee
高校生・時縞ハルトは争いごとが嫌いだ。だから、転校生のエルエルフに殴られても、殴り返せない。しかし、彼の思いとは裏腹に、より大きな争いが彼を襲う。巨大な軍事国家・ドルシア軍邦が奇襲をかけてきたのだ。戦火に巻き込まれる学校。殺される学友たち。中立平和をうたう小国ジオールには為す術もない。その騒乱の中、ハルトは謎の兵器「ヴァルヴレイヴ」と出会う。それは、転校生と偽り学内に潜入したエージェント・エルエルフの標的でもあった。
エルエルフはハルトを殺す。しかし、心臓を貫かれたはずのハルトはなぜか死んでいなかった。ハルトはエルエルフに噛みつき、エルエルフに乗り移ってしまう。一連の不可思議な事象に驚きつつも、ハルトは行動を開始する。ヴァルヴレイヴで、ドルシア軍を叩き出すつもりなのだ。たった一機でドルシア艦隊に立ち向かうハルト。だが、彼は戦いの素人に過ぎない。次第に追いつめられ、ついにヴァルヴレイヴはその活動を停止させてしまう。
ドルシア軍をたった一機で撃退し、一躍、時の人となったハルト。救助のためにモジュール77にやって来た、ARUSの特使・フィガロは、ハルトを賞賛しつつ、共に逃げることを提案する。しかし、尋問室から逃げ出したエルエルフの破壊活動により、ARUSの戦艦が座礁し、宇宙港が使えなくなってしまう。パニックに襲われる学生たちを目の当たりにしながら、ハルトは驚愕する。エルエルフが宣告したとおりに事態が動いていることを――。
「俺と契約しろ」――突如、ハルトに取引を持ちかけるエルエルフ。ドルシアに革命を起こすため、ハルトの持つマギウスの力を求めたのだ。協力すればその代わり、学園を救ってやるというエルエルフだったが、ハルトはそれを拒んだ。追撃するドルシア軍に、再び窮地に陥る咲森学園。本性を表したフィガロは、ヴァルヴレイヴを接収し、学生たちを見捨てて逃げ出そうとする。しかし既に、ドルシア艦隊はモジュールを完全包囲していた。
ダイソンスフィアから切り離され、宇宙を漂うこととなったモジュール77。独立を謳ったハルトたちは、子供だけの楽園を満喫していた。しかし、環境を制御するシステムに不具合が起き、真夏日だったモジュール内は一変、雪が降り出す事態に。さらに停電となり、街中が暗闇に覆われる。選抜メンバーによる調査隊が派遣されるが、システムが復旧する目処もたない。暗く冷え込む中、不安を募らせる生徒たちの間で、次第に不和が生じる。
新たに4機のヴァルヴレイヴを見つけたハルトとサキ。喜び勇んでヴァルヴレイヴIVに乗り込んだサキは、ハルトの制止を振り切り、搭乗者の契約を果たしてしまう。さらにハルトに噛み付き、身体を乗っ取ったサキ。ハルトになりきりタカヒに迫ったり、ハルトとサキが恋人かのような写真をバラまいたりと、やりたい放題。サキの行動に困惑し、詰め寄るハルトだったが、そこにドルシア艦隊がモジュールを取り囲み、攻撃を仕掛けてきた。
モジュール77を利用しようと、咲森学園の占拠に乗り出したエルエルフ。抵抗するため、ハルトはヴァルヴレイヴに向かうが、それを察知していたエルエルフに銃を突きつけられ、動きを制されてしまう。さらに、モジュール内に潜入していたアードライが現れ、ハルトたちは三つ巴の状態に。しかしそこを、痺れを切らせたクーフィアがバッフェで襲撃する。銃弾をかわしたエルエルフが見たものは、瓦礫の下敷きとなったハルトだった。
ドルシア軍の攻撃で、命を落としたアイナを悼むハルトたち。怒りと哀しみ、そして助けられなかった後悔に、ハルトたちは苛まれる。一方、ヴァルヴレイヴを狙うカインは、再びアードライをモジュールへと送り込み、内部と外部から攻撃を仕掛ける。ジオールの戦艦を鹵獲し、学園を砲撃するアードライ。内外同時の攻撃を止める手立てのないハルトは、エルエルフにサインを送る。それはかつて、エルエルフの示した契約のサインだった。
エルエルフの指導を受け入れ、学生たちは戦闘訓練に勤しんでいた。ドルシア軍の追撃を振り切るため、中立地帯である月へ逃げ込もうとするモジュール77だったが、またもドルシア艦隊に行く手を阻まれる。敵の陽動作戦で、ハルトとサキの機体は孤立し、防戦一方の咲森学園。戦闘の混乱の最中、ヴァルヴレイヴに乗り込もうとするサンダー。個人の感情で勝手をするなと、犬塚はそれを止めるのだが、サンダーの言葉に心を揺さぶられる。
月への到着が間近に迫り、改めて学園の代表を決めることになったハルトたち。独立した新生ジオールの代表ということで、全校生徒を巻き込んでの総理大臣選挙が開催される。サトミやサンダーたちが立候補し、お祭り騒ぎとなる校内。男女問わず人気があり、面倒見の良いショーコもまた、各所から出馬を要請される。それを、自分には向いていないと笑ってごまかすショーコ。だが、その笑顔がいつもと違うことに、ハルトは気付いていた。
新政府発足ということで、新たに大臣に任命され、記念撮影を行うショーコたち。その一方、ハルトとサキは2人きりで無人の街をさまよう。サキに対し、何も言えないままのハルト。そこにドルシアの大艦隊が迫る。エルエルフの作戦で敵の陣形は崩され、逆転への布石は打たれた。だが、艦隊司令のデリウスは、ショーコの父であり元ジオール総理大臣の指南リュージを人質とし、降伏か父の死か、ショーコに非情な判断を強いるのだった。
カインの用意した新兵器は、モジュールの隔壁を穿ちながら、内部にガスを撒き続ける。そしてその切っ先は、アキラが篭もったままの校舎へと迫りつつあった。友達を助けに走るショーコだったが、アキラの元にたどり着く寸前、せり上がった地面に吹き飛ばされ、気絶してしまう。一方、ハルトとエルエルフは、対峙したカインに戦慄する。2人の目の前で、カインはヴァルヴレイヴの銃弾を異質な力でかわし、まばゆい光に包まれていた。