あるところに一人の旅人がいました。彼女の名はイレイナ。若くして魔法使いの最上位「魔女」となった才女です。幼いころに読んだ旅の物語に憧れて、流されるように気ままな長い旅を続けています。この広大な世界を自由に渡り歩き、わけのわからない可笑しな人や、誰かの美しい日常に触れながら、彼女は旅人として、これといった目的もなく、色々な国や人との出逢いを繰り返します。そして同じ数だけの――「構わないでください。私、旅人なものですから。先を急がなければならないのです」 そんな魔女イレイナが紡ぐ、出逢いと別れの物語…。
(C)白石定規・SB クリエイティブ/魔女の旅々製作委員会
イレイナは『ニケの冒険譚』を読み、魔女になって旅をする夢を抱く。試験に合格し、あとは他の魔女に弟子入りして一人前になるだけなのに、どの魔女からも門前払い。遂に怪しげな「星屑の魔女」に弟子入りを頼むことにする。
魔法使いの国を訪れたイレイナは、入国早々ほうきに乗って猛スピードで突っ込んできた少女と正面衝突し、散々な1日を送ることに。少女・サヤはイレイナに、魔女見習い試験の極意を教えてほしいと頼み込む。
旅の途中で美しい花畑に降り立ったイレイナは、そこにいた少女から花束を預かる。花が美しいと思われることが大事で、誰でもいいから渡してほしいという不思議なお願いと一緒に。イレイナは近くの国へと向かうが……。
滅びた国に辿り着いたイレイナは、唯一破壊を免れていた王城で美しい女性に出会う。正体は記憶を失ったこの国の王女であり魔女・ミラロゼ。彼女と国を滅ぼした巨大な化け物との闘いをイレイナは見届けることになる。
イレイナはとある本を片手に、半年前に訪れた魔法使いが活躍する国を思い出す。街中で突然魔法学校の生徒に同行を求められ、拒否したイレイナ。壮絶な追いかけっこの末に待っていたのはなんと師匠・フランだった。
正直者の国――そこは国王が持つ不思議な剣の力で、嘘がつけなくなる国。一見普通だが、住民は静かで、殺伐とした空気が漂う街に疑問を抱いたイレイナは、嘘をつくための法則性を調べることに。そこでひとりの魔女と再会する。
『ニケの冒険譚』に綴られた、壁で分断された仲の悪い2つの国。ある日役人が旅人のニケに、壁のこちら側がいかに素晴らしいかを自慢したいと相談すると、ニケはおもむろに壁に賞賛の文字を掘り始める。
人形であふれた国で、イレイナは魔法統括協会の魔女が切り裂き魔事件の聞き込み調査をしているところに遭遇する。首を突っ込むつもりのなかったイレイナだったが、なんと自分自身が次の被害者になってしまう。
金欠のイレイナは、お金儲けの甘言に釣られて「薫衣の魔女」エステルに会う。彼女は親友の不幸な結末を変えるため、魔法で過去に戻ろうとしていた。2人は10年前の街で、悲劇の始まりとなる事件を阻止しようと奔走する。
揃って休暇をとり旅行に出かけるフランとシーラ。フランは師匠がもうひとり弟子をとりたいといった日のこと、そして犬猿の仲だったシーラと過ごした弟子時代に想いを馳せる。それは、魔法統括協会からのある高額報酬依頼……。
クノーツの街を訪れたイレイナは、魔法使いを嫌悪する強盗集団「骨董堂」復活の報を耳にして正体を隠す。いっぽうサヤは謎の小箱を届ける仕事の途中で妹に再会する。そんなときイレイナとサヤの体に異変が……?
「あなたの願いを叶える国」と書かれた門を潜ったイレイナは、見知った城の中で眼鏡をかけたもうひとりの自分に出会う。そこには性格が異なる何人ものイレイナが存在した。イレイナの願いとはいったい何なのか?