『その者、世界を滅ぼす猛毒なり』
ラインヴァン王国の歴史より抹殺されし廃棄王女…。
タイムリミットは、16歳の誕生日。
<聖グレンデルの托宣>により、生まれたばかりの王女は秘密裏に抹殺され、その存在自体が王室の禁忌とされた。いつしか<廃棄王女>という言葉だけが残り、月日は流れていった。だが彼女は生きていた。それがパシフィカである。義兄シャノン、義姉ラクウェルと平凡な生活を送っていた彼女だが、運命は大きく動き出す…。
(C)2003 すてプリ製作委員会
王国から狙われている少女・パシフィカは、兄姉とのあてどのない逃亡の旅の途中、昔世話になったおばさんと出会い再会を喜ぶ。だがおばさんは、パシフィカがマウゼル教によって忌まわしき存在とされている廃棄王女であることを知っていたのだ。
山賊に襲われるカスール三姉兄妹。楽勝な相手だが、そこに通りかかった少年が勘違いして彼らを助けようと申し出る。彼は騎士見習のレオ。パシフィカに一目惚れしたというレオは、元騎士のドイルに教えを乞おうとはるばる旅をしてきたというが…。
検問をやり過ごし、タウルスの街に着いた三姉兄妹。パシフィカは宿泊先の宿で働くウイニアという娘と知り合う。久しぶりに同年代の子に出会って嬉しいパシフィカだったが、何故かウイニアの方はなかなかうちとけようとしてくれない…。
ウイニアが誘拐された! 王国の特務戦技兵士、クリスの指定した決闘場所の硝子谷にやってきたシャノンは、クリスと激しく刃を交わす。激戦の末、ウイニアを救うシャノン。だがそのとき廃棄王女を始末するために恐るべき敵が街にやってきた。
旅をつづける三姉兄妹の前に吟遊詩人のキダーフが現れる。軽いノリで接してきた彼の正体は賞金目当ての暗殺者だった。キダーフの操る魔蟲の針がかすり意識不明の重体に陥ったパシフィカ。彼女の命を救うため、レオたちは薬草があるという太古の遺跡へと向かう。
パシフィカが廃棄王女であることを知ってしまったレオは無言で三姉兄妹の前から姿を消す。沈んだ気持ちで旅を再開する一行の前に突如謎の男が現れた。その男によって意識を操作され、連れ去られてしまうシャノンとラクウェル。一人になったパシフィカは…。
降りしきる雨の中、シャノンは一人の少女と出会う。彼女は「スィン」という自分の名前以外に何も覚えていなかった。兄、姉の関心を引くスィンに心穏やかでないパシフィカ。そんな彼女の前にゼフィリスが現れ、スィンは危険な存在だと告げる。
ゼフィリスの言葉に不安を感じたパシフィカはシャノンの身を案じ、おもわずスィンにとびかかってしまう。だが事情を知らないシャノンがパシフィカのことをきびしく責めたため仲違いしてしまう二人。そして責任を感じたスィンがいなくなってしまった。
旅の途中、立ち寄った温泉宿でベルケンスというマウゼル教の異教検察官と知り合う三姉兄妹。正直、あまり係わり合いになりたくない相手だが向こうの方からついてきてしまう。そして次の街へと向かう途中、四人は偶然、魔法で隠された洞窟を発見するが…。
マウゼル教に敵意を持つ人たちが集まって偽の廃棄王女を崇めている隠れ里にまぎれこんでしまった三姉兄妹。おまけに里は魔法によって外界と閉ざされ、三人は出られなくなってしまう。そんな中、里人たちによる不気味な儀式が始まろうとしていた。
隠れ里から地下道を抜けた三姉兄妹は国境を越え隣国、ギアット帝国にやってくる。初めて見る海に感激するパシフィカ。だが三人は突如現れた兵隊たちに包囲されてしまう。そして困惑する一行の前に獣姫という仇名を持つギアット帝国皇女セーネスが現れた。
セーネスの要塞、スキッドの奥で、ゼフィリスの仲間であるナタリイからこの世界の秘密について聞く三姉兄妹。だがそこに、ピースメーカー・ステアに操られたギアット帝国軍の艦隊が攻撃してきた。更にステアはスキッドに対し中継点をさし向けてくる。
ラインヴァン王都ザウルスを目指して進む機動要塞スキッド。スキッドの中での生活は想像を遥かに越えた未来の技術に彩られており、三姉兄妹にとっては驚きの連続である。更に加速するため巡航形態に変形するスキッド。だがその直後スキッドが停まってしまった。
突如停止したスキッド。それはナタリイの仕業だった。再度スキッドを動かそうと中枢部に向かうラクウェルとセーネス。パシフィカはナタリイの行動に疑問を持ったゼフィリスから相談を受ける。だがその間にもナタリイはシャノンに対しての働きかけを行っていた。
王都ザウエル沿岸に到達したスキッド。ラインヴァン王国軍はペータシュタール将軍指揮のもと、領海侵犯してきたスキッドに対しての大規模な攻性魔法を準備する。ピースメーカーの力により動けなくなってしまったスキッド。状況打開のためシャノンが出撃した。
王国軍の攻性魔法によりスキッドが破壊され三姉兄妹はばらばらになってしまう。なんとか二人のことを見つけようと王都の中を歩きまわるシャノン、ラクウェル。その頃パシフィカは、とある青年の家に居候し今までとはうってかわった日々を過ごしていた…。
パシフィカは居候先の青年フューレに似顔絵を描いてもらおうとするが、なかなか似ないため不機嫌になる。その頃シャノンは行方不明になったパシフィカを求め、王都中を歩き回っていた。そして王国軍のスレイもまた、廃棄王女のことを探していた。
フューレの家を出て、知り合いのいる芝居小屋に身をよせるパシフィカたち。彼らはなんとか警戒の厳重な王都から逃げ出そうとしていたが、厳戒態勢の中、王都中の馬は王国軍の管轄下におかれてしまっていた。それを奪還しようとフューレが一計を案ずるが…。
王国軍に捕まってしまったパシフィカは一人、王城の地下牢獄に閉じ込められてしまう。隣の牢の女性と会話することで寂しさをまぎらせようとするパシフィカ。その頃、シャノンも王国軍のペータシュタール将軍に呼ばれ、王城にやってきていた。
依然、王城にて囚われの身のパシフィカは、ラインヴァン王国国王バルテリクの前にひきだされる。同じく王の間に連れてこられたシャノンに、王国軍への協力を要請するペータシュタール将軍。その頃ラクウェルたちはパシフィカを救出しようと計画を練っていた。
王都上空で対峙するドラグーンとピースメーカーたち。王城に閉じ込められたパシフィカは、窓の外からの壮絶な戦いを目にし、愕然とする。そして彼女を救おうと王城に向かっていたラクウェルとレオたちの前に中継点の群れが立ちふさがった。
聖都外れの山岳地帯に逃げのびたパシフィカたち一行。王城は半壊し、恐怖したペータシュタール将軍は全軍をあげて、廃棄王女の捜索にとりかかる。そんな中、野営のテントを張り終えた一行は、廃棄王女のつくった焼きそばを食べようとしていた。
運命の日まで残すところあと数日となった。そんな折、聖都にいるフォルシスのもとにクリスが訪ねてくる。フォルシスに対して別れを告げるクリス。クリスたちが廃棄王女と共にいると聞き、驚くフォルシスだったが、生き別れになった妹への思いが再び募りだす。
廃棄王女の潜伏先をつきとめた王国軍による総攻撃が始まった。ピースメーカーも最後の攻撃をしかけてくる。迎え撃つドラグーン、クリス、セーネスたち。そんな中、廃棄王女を中心として異変が起こり始める。そして眩い光が世界を覆い始めた…。