平安の闇に吼える金狼。
霊的結界によって厳重に守護されし都・平安京。だが京に結界を張る呪術集団・陰陽師が実際に護るのは“光宮(コウグウ)”のみ。
平安京の夜闇には人の魂を喰らう物の怪“火羅(ホラー)”が跋扈していた。
闇の世界で火羅を討滅せし者──それが“魔戒騎士”と“魔戒法師”。
魔戒法師・星明(セイメイ)に拾われ、魔戒騎士として育てられた青年・雷吼(ライコウ)は、従者の金時(キントキ)とともに、京に暮らす人々を護るため日々奔走していた。平安京に渦巻く闇から、次々と生まれ出でる火羅。
はたして、雷吼たちが立ち向かう先にあるものとは──。
(C) 2015「紅蓮ノ月」 雨宮慶太 / 東北新社
時は平安。京の周囲には火羅(ホラー)と呼ばれる物の怪が蔓延り、夜な夜な起こる怪異に人々は怯えていた。その一方で、人知れず火羅と戦う者たちがいた。黄金の鎧を持つ若き魔戒騎士・雷吼と謎多き魔戒法師・星明。新たな怪異の噂を聞きつけた雷吼は、火羅の仕業ではないかと調べ始めるのだが……。
京の魔戒の者たちを束ねる東の番犬所の依頼を受け、魔戒騎士見習い・葛城久頼と行動を共にすることになった雷吼と星明。久頼は魔戒騎士の剣を学ぶため、絶えたとされた黄金の鎧を召還できる雷吼に弟子入りを志願しているのだという。一刻も早く父の鎧を受け継ぎたいという久頼に雷吼は──。
京の権力者・藤原道長の別邸にて、池の置石を舐めた野良犬が突如変死を遂げる。原因は自分を狙った「呪詛」であると告げられ、検非違使に巷の陰陽師を残らず捕らえるよう命じる道長。星明も悪法師として牢に閉じ込められてしまうが──。
赫夜と呼ばれる美しい姫がいた。しかし、彼女に求婚を望む5人の貴族は次々と火羅に襲われ死んでしまう。自分を救ってくれる人を探しているのだという赫夜。怪しむ星明に雷吼は、赫夜が火羅ではないことを証明しようと奔走する──。
名門藤原南家の出である検非違使・藤原保輔は、放免の小袖に想いを寄せていた。放免とは、罪人を探索、捕縛するために検非違使に使われる前科者。小袖は保輔の好意に気づいているが、貴族と元罪人が懇意にすることなど許されるはずがなく──。
東寺の市の帰り道、雷吼たちはごべえという名の少年と出会う。ごべえは、病弱の母親と小さい妹のために珍品を盗み、金に換えようとしていた。一方、道満は疫病をもたらす火羅・以津真天を復活させる。その影響が貧民街を中心に出始め──。
安倍晴明の屋敷が火羅に襲われる。お金に困っていた星明は、藤原道長からの火羅征伐の依頼をしぶしぶ引き受け、一人熊野に向かう。そこでは道満がまたもや強力な火羅を解放しようとしていた。京に残された雷吼は星明の過去を知ることになり──。
源家の郎党(家臣)・渡辺綱は、夜の橋上で女に化けた火羅と出会う。太刀で腕を切り落とし追い払うも、綱が武門之棟梁・多田新発意の屋敷に戻ると、無数の火羅の腕が出現、床に臥せる新発意を襲い出す。事態を案じた源頼信は星明を訪ねるのだが──。
厳しい台所事情に仕方なく番犬所へ仕事の無心に出かけた雷吼は、稲荷から厄介な火羅が現れたと聞かされ、星明、金時とともに討滅に向かう。黄金の鎧を召還し、いつものように火羅を討滅する雷吼だったが、火羅の生み出した闇の影響を受けてしまい──。
陰陽寮に詰めていたすべての陰陽師が一晩のうちに消失する。火羅の仕業と感じた雷吼と金時は、陰陽師がらみの事件でやる気のない星明を尻目に、待ち伏せして火羅を討滅しようと動き出す。思惑どおり火羅を見つけ出した雷吼だったが、火羅の一撃を受け──。
袴垂保輔は、南都の盗賊を束ねる大義賊・天戒丸に呼び出され、重大な話があると告げられる。同じ頃、保輔の兄・藤原保昌は、光宮の護りをより強固なものにするため、藤原南家に伝わるという鎧の行方を探していた。そんな中、保輔の盗賊団が火羅に襲われ──。
とある場所に集められた『牙狼 -紅蓮ノ月-』主要キャストメンバー。そこには美味そうに湯気をたてる鍋が──!? 前半ストーリーを振り返ると共に、キャストによる作品紹介などで構成する特別番組!
鎧召還の封印を解くよう星明に詰め寄る雷吼。しかし星明は頑として聞き入れず二人は衝突する。一方、完成間近の朱雀大路の新城門・来世門では、藤原道長が大工たちの労をねぎらっていた。その最中、突如上空に巨大な繭が出現。さらに蘆屋道満も姿を現す──。
雷吼を救うことを選択した星明。しかし、その決断によって来世門は巨大な繭に押し潰され倒壊、大勢の人々が犠牲になってしまう。救えたはずの命だったと自らを責める雷吼。そんな彼を嘲笑うかの如く、繭からは大量の素体火羅が出現、人々を襲い始める──。
自ら鎧を召還できるようになったものの、星明がいなくなり心ここにあらずの雷吼。一方、多くの民が住処をなくした来世門周辺では、頼信と郎党、そして変わり者と評判の姫・末摘花が炊き出しを行っていた。そんな時、貴族の娘たちが行方不明になる事件が起こる──。
相変わらず、女と見れば手を出してしまう橘正宗は、歌会中に侍女をてごめにしようとし、妻の怒りをかう。その事を歌の師匠である和泉式部に愚痴る正宗。女癖の悪さを見かねた式部は、雷吼に正宗の見張りを頼む。そんな折、正宗ゆかりの女たちが次々と殺され──。
魔戒騎士でありながら義賊を続ける袴垂は、ある晩押し入った屋敷で火羅と化した貴族を討滅する。貴族たちへの盗賊の襲撃が相次ぎ、来世門の失態をいち早く返上したいと考える検非違使の長・四条公任は、事件の本格的な調査に乗り出すが──。
討滅した火羅が紅い光となって月へと昇っていく。不可思議な現象を訝しむ雷吼は、番犬所の稲荷から夜空に紅く浮かぶ月の秘密を告げられる。そのころ雷吼の元を去った星明は、自分の体の異変に気づき、ひとり熊野の山中にいた。そこに現れたのは祖父・安武晴明だった──。
空に浮かぶ紅蓮ノ月は真の月ではなく、強大な火羅・ルドラを封印する地であった。そして、その月が紅く染まったのは、道魔法師によって封印が解かれ、依代が地上に現れたからだという。雷吼は番犬所の稲荷からルドラ復活阻止の命を受け動き出すが──。
師である道魔法師を殺した蘆屋道満と共に現れた、黒い魔法衣を纏った星明。その星明の結界を破り、自らを月の火羅を封印せし者と告げる赫夜。赫夜の秘密を知る安武晴明は、ルドラ討滅の為、雷吼にその全てを打ち明けるのであった。騎士としての使命を果たさなければならない雷吼に大きな試練の時が──
ルドラを討滅するには、依代の中にいるうちに依代ごと斬るのが最善と解りながらも、依代=星明を斬ることができず苦悩する雷吼。そんな最中、袴垂の兄保昌が星明に殺されてしまう。復讐心も相まって星明を斬ることを決意する袴垂。そんな袴垂を止めようと立ち塞がる雷吼。計らずも二人の魔戒騎士が今激突する──。
依代である星明を助ける術が見つかったと晴明から告げられた雷吼たち。その決死の作戦とは、雷吼が星明の精神世界に入り、その心の内にいるはずの星明を目覚めさせ、内にいるルドラを滅すること。だがその為には、雷吼同様晴明も命をかけなくてはならない。果たして──。
晴明の策は成功し、無事に星明は救出される。だが、一方でその術の真実は晴明が代わりにルドラの依代となるものだった。それに気づいた蘆屋道満は、晴明を奪いルドラ復活の儀式を始める。道満を探し出しそれを阻止しようと動く雷吼たち。しかし、時すでに遅く、月の封印を破り遂にルドラが復活してしまう──。
復活したルドラ。その強大な力に怯むことなく挑む二人の魔戒騎士。だが、体内に魔界との迎門を持つルドラは斬られても斬られても新たな火羅を呼び出し復活してしまう。奴を倒すにはその迎門の源となっている道満を切り離さなければならないと読む星明。しかし、その為にはルドラの中にある道満の陰我を断つ必要があった──。