これは決して妄想ではない
女子高生、リフトオフ!
ソロモン宇宙協会(SSA)は、日本初の有人口ケット打ち上げを目指し、南太平洋のソロモン諸島・アクシオ島で活動を続けていた。そんなある日、SSAの所長・那須田と医学主任・さつきは、父を捜しにやって来た女子高生・ゆかりと出会い、彼女を宇宙飛行士にする事を思いつく。…果たして、有人飛行は成功するのか?
(C)野尻抱介・むっちりむうにい/富士見書房/ハピネット
ネリス女学院に通う女子高生・ゆかりは、父・寛を探しにソロモン諸島へ向かった。一方、ソロモン諸島のアクシオ島にあるソロモン宇宙協会(SSA)は、新型ロケットLS-7の打ち上げがまたもや失敗。予算打ち切りというピンチにおちいっていた。そんな中、アクシオ島に着いたゆかりは、SSA所長の那須田と出会い…。
父の捜索を手伝う代わりに、簡単なバイトをしないかという那須田の頼みを引き受けてしまったゆかり。だが、実は簡単なバイトとは、宇宙飛行士だった。謎の「女王様」医師・さつきによる様々な医学検査と訓練の末、ゆかりは厚さ2ミリのスキンタイトスーツだけを着させられ、ジャングルでの訓練に放り出される事に…。
意外な簡単さで、寛との再会を果たしたゆかり。だが、寛とある約束をしたせいで、マツリとともに宇宙飛行士の訓練を続けるはめに。身長体重は自分とほぼ同じなのに、ナイスバディな野生の少女(?)マツリのマイペースぶりにふりまわされ、イライラするゆかり。カンシャクを起こしたゆかりは、悪だくみを思いつき…。
奇人・変人ばかりと思っていたSSAメンバーたちの、意外な宇宙への熱意に触れるうち、宇宙飛行へ本気になりはじめたゆかり。そんなある日、ゆかりは化学主任の素子が開発している新型ハイブリッド燃料の大爆発を目にする。なんと、燃焼試験は失敗の連続らしいのだ。それを知ったゆかりは、新型燃料開発に反対するが…。
アクシオ島にやって来た母・博子にまるめ込まれ、ゆかりは新型ハイブリッド燃料の使用をみとめた。そして、ついにSSAは日本初の有人ロケット打ち上げを発表。打ち上げに対する緊張と、どこか打ちとけきれないマツリへのわだかまりにイライラするゆかり。しかも、打ち上げ当日、ロケットのシステムに異常が発見され…。
ゆかりはたびかさなる延期にがまんができず、打ち上げを強行させた。だが、彼女の乗るオービター(宇宙船)タンポポは、予定の軌道からおおきくそれていた。管制室が帰還プランを検討する中、さらにトラブル発生。ゆかりは船外活動を行なうはめに…。広がる銀河の美しさに感動するゆかりだったが、状況は絶望的だった!?
なんとか地球への帰還を果たしたゆかりとマツリ。ふたりはネリス女学院の中庭に着水してしいた。そんなとき、宇宙実験用の金魚に不調が…。あせるゆかりに声をかけたのは、優等生で知られる1年生の少女・三浦茜だった。てきぱきと金魚を救う手際と茜の澄んだ瞳に、ゆかりは思わず基地へ見学に来ないかと誘ってしまう。
ゆかりを追ってアクシオ島にやって来た茜。しかも、宇宙飛行士になりたいと言うのだ。優等生として生きてきた自分の殻を破りたい、宇宙へ行きたいと想いをかたる茜。そんな茜にゆかりもマツリも心を動かされ、一緒に宇宙へ行こうと約束する。だが、体力がてんでダメな茜…。果たして、適性試験にパスできるのか!?
茜の体力のなさに業を煮やした那須田は、ジャングル単独踏破訓練をこなせば合格というカケに出た。そんな中、さつきから茜が不合格になって日本へ帰ったという嘘を知らされ、落ち込むゆかり。一方、茜は全力で基地を目指し、ジャングルをさまよっていた。だが、ジャングルの過酷さに刻一刻と時間は過ぎていってしまい…。
第三の宇宙飛行士となった茜。那須田は宇宙飛行士が増えた事とふたり乗りオービターを完成させた事で、SSAの機動力が向上した事をアピールする。同じ頃、スペースシャトル・アトランティスでは、冥王星探査衛星オルフェウスの打ち上げトラブルが発生。それを知った那須田は、これ幸いとNASAに協力を申し出る。
冥王星探査衛星オルフェウスを救う為、ゆかりと茜は軌道上のスペースシャトル・アトランティスに向かった。しかし、NASAのミッションスペシャリスト・ノーマンは、助けられることをこころよく思わず、ゆかりといがみあう。そんな中、船体のすきまに入り込んだコントロールバルブを回収するミッションがはじまるが…。
相次ぐトラブルで、オルフェウスは大幅に軌道をそれて発進してしまった。オルフェウスを救うには、アポロ計画以来前人未踏の高度3000キロメートルに挑戦するしかない。ゆかりと茜の決意に応える為、懸命にプランを立てるSSAとNASAのスタッフ達。そして、何もかもがイレギュラーな緊急ミッションがはじまった!