それは何でも見通せる魔法の眼…。
でも、人の心は見えない…。
天才外科医ブラック・ジャックに「物質を透視出来る眼」を移植され、自らも外科医となった「零」。その「眼」の力と天才的な技術で困難な手術を成し遂げていた。零は名前も与えられず、ある「組織」に仲間たちと「白い部屋」で育てられていた。数々の難病、難事件を解決していきながら零は「組織」の秘密に迫っていく…。
(C)2005吉富昭仁・秋田書店/RAY PROJECT 協力:手塚プロダクション
零はブラック・ジャックと名乗る謎の無免許医に「透視能力を持つ眼」を移植された天才外科医。零が沢病院へ来た早々、麻薬密売組織の一員であるという重症患者が運び込まれた。臨床実験もしていない新薬を使わないとこの男は救えない。男の口封じのために麻薬密売組織も動き出した。沢院長は零に手術の依頼をするが…。
零の協力者であり、人工臓器開発のエキスパートである篠山。篠山は完全内蔵型の人工心臓の開発に成功した。そんな折、零は重度の心臓病患者、杏奈の担当になった。姉の環奈は杏奈を励まし続けるのだが、杏奈の手術に必要な心臓のドナーが見つからない。意を決した環奈は零に「自分の心臓を使って欲しい」と頼むのだが…。
海に向かう美里たちと零。特殊な病原菌に冒され、水中でないと菌への抵抗が維持できないため、水中から出られない少年に会うためだった。零は沢病院に長期入院している少年、賢治とその水中の少年の姿を重ね合わせる。賢治は空気感染を避けるためガラス張りの密室で生活しているのだ。意を決して水中手術に挑む零だが…。
忌まわしくも懐かしい「白い部屋」の記憶…。10年前、沢に救い出されるまでそこにいた零は、そこで一緒に育った無痛症(人体実験でそういう身体にされている)の少女と再会する。赤いリボンの少女「アカリボン」。再会を喜び、他の仲間たちの消息を知りたがる零だが、アカリボンはすべての記憶を失っていた…。
緊急患者の大山さやかは原因不明の皮膚の裂傷や骨折を繰り返していた。その症状を前に零は、7年前の不思議な体験を回想する。火土神社の巫女だった幼馴染の雅が封印の儀式を終えた後、腹部から不気味な肉塊のような腫瘍が出来、みるみる巨大化していったのだ。零は雅を救うため、無我夢中で初めての手術に挑むが…。
零の元に「ガラスのメス」が送られてきた。これに呼応するように電気機器が使えなくなった中で患者が運び込まれた。その患者は体中の細胞機能が低下し、急激な老化が進行していた。その男は零を監禁していた「組織」の一員だったのだ。「組織」の手掛かりでもある男を救うべく、零は硬質ガラスのメスでオペを開始する…。
美里の友人であるという「堀内ライフメーカー」の社長令嬢堀内すみれの誕生パーティに招待される零や篠山たち。しかし、すみれのお目当ては篠山だった。すみれにとって篠山は初恋の相手だった。すみれは10年以上海外で暮らしていたが、その間も篠山を想い続けていたのだという。だが、すみれの身体には重大な秘密が…。
「白い部屋」で想い人だったコーイチと篠山の間で揺れる零。原因不明の高熱を出し、「身体の中に何かいる」という酒井香織の緊急手術をする零だが、透視能力を使っても患部を見極められない。「精神的な理由じゃない?」と美里に諭される零。やがて香織の体内に巣食う正体である『毒性のカビ=フンギ』が明らかになり…。
「フンギ」事件から「組織」への糸口を掴んだ零と篠山は雪に閉ざされた村「蛍谷」へ向かった。そこには地主である大守部家の鉄蔵とその養女の小枝子だけが暮らしていた。大守部家を訪ねた零と篠山を鉄蔵がライフルで脅して追い返そうとした時、小枝子が発作で苦しみ出した。彼女は鉄蔵の妻と同じ持病を発生させていた…。
「蛍谷」事件から組織がクローンビジネスを行っていることを知る零たち。しかも零は自分と「同じ顔」の女に襲われた。そして頻繁に見る「自分の記憶に無いリアルな夢」。零はある確信を持った。自分が誰かのクローンであるという事実について。育ての母である春日野に尋ねる零に春日野は30年前のことを語り始めて…。
Hリングの男の居場所が判明した。コーイチとの再会に心が揺れる零だが、美里に「零にとって一番大切なのは何か」と問われ、「これが私の答よ」とHリングの男の元に向かう。自分と同じ顔をした女ONEに成りすました零は、Hリングの男の部屋に着く。そんな零を迎え入れたHリングの男は零に衝撃の事実を語り始める…。
衝撃の事実を知り消沈している零に、失踪していたアカリボンから電話が…。戸惑いながらも篠山と指定された場所に向かう零。そこには、広大な炭鉱跡の地下に昔日の町並みが再現されていた。少しずつ、この町の「記憶」を思い出していく零。そして、町で待っていたコーイチに案内された零が、その眼で見たものとは…。
爆発炎上し崩落する昔日の町。瓦礫の中で意識を失った零が目覚めると、「やっと夢が叶った」と笑顔のコーイチとアカリボンが。そこは地図にもない小さな島だった。そこで「すべてを見た」零は…。そして零の眼は…。